読書感想文集 『あをの』(島根県学校図書館協議会 編)より

感想文の書き方ページ

 「継続は力なり」と言います。本を読み、気づいたこと、感じたことなどを自由に書き留める。この積み重ねは、頭脳を鍛え、心を豊かにするんですね。

 『君たちはどう読んでいるか』(著者:松尾弥太郎)の中に出てくる、(松江四中)山本博行君の話を紹介しましょう。


 彼は、中学生になってから読書の記録をつけだした。3年が終わるまでに、約100冊の本が読まれ、読書ノート(大学ノート)も3冊になっていた。
 この間、成績が飛躍的に伸びた。入学当時は中位だったが、卒業頃には8番になった。担任の先生は、「読書の記録をつけていくうち、考える力と習慣が付いてきて、ふだんの生活の中にも、自然と落ち着きが出てきた。それで学業成績もよくなったのだろう」と話しておられる。
 山本君は、3年生の時には学級委員にも選ばれ、まわりの人からの信頼と信望も厚い。
 

『君たちはどう読んでいるか』(著者:松尾弥太郎)の本(写真)

 ご周知のように、読書は、日頃の言語生活を豊かにします。読書は、人の生き方や社会のあり方について興味関心をはぐくみ、問題意識を生みます。生活の幅を広げ、生活を豊かにします。自分との対話を促し、自己発見や自己変革につながります。……さまざまなメディアが発達する中にあって、読書は知識と知恵を獲得し、心を豊かにする、人類不変の原点ではないでしょうか。

 「読書感想文を書かせるから、子どもが読書嫌いになる」という意見を耳にすることがあります。また、「感想を求めないこと」が、あたかも正しい読書指導と言わんばかりの意見を聞くことがあります。もちろん、気軽に楽しむ読書も、一つのあり方です。

 しかしながら、「一冊の本と真剣に向き合う読書」も、心身ともに急速な発達を遂げている児童生徒には、きわめて大事なことでもあります。

 本を読みながら立ち止まり、考え、迷い、悩み、気づき、……。そういう、心の複雑な動きを文章につづることにより、考えがよりはっきりしたり、深まったりします。思いがけない考えを(作文が)引き出してくれることさえあります。

 「読書感想文」と聞いただけで、読む気を失う子がいるとしたら、その多くの場合は、「作文そのものに抵抗感がある」のではないでしょうか?(なかには、「書く時間があったらもっと本を読みたい」という子どもがいるのは確かですが。)

 そこで教師は、日頃から負担の少ない「短作文」の機会を多く設け、書くことへの抵抗感を取り除いてやる手だてを講じることが(読書感想文を抜きにしても、)きわめて重要なことです。

 子どもは、(大人もですが、)書き込んでいく中から、書く喜び、書くすごさを体得していくからです。(水の中に入って泳がないことには、水泳が上手にならない、泳ぐ楽しさは体感できなのと一緒です。)

 「教育は人にあり」……「優れた読書感想文の背後には、必ず優れた指導者あり」、「喜々として読書に向かう学級集団の背後には、優れた指導者あり」、「国語の授業中、レベルの高い意見が飛び交う学級の背後には、優れた指導者あり」です。

 長い人生、読書から得るものは、心身ともに計り知れないものがあります。私たち(教育のプロである)教員は、「読書の習慣を身につけた」児童生徒の育成を目指し、全力を尽くしていきましょう。