読書感想文の書かせ方

千葉昌之さん


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15.9.16(火)

  

※ いよいよ、各学校においては「読書感想文」校内審査が始まった頃と思います。このホ−ムページでは「読書感想文の書き方書かせ方」の部屋を作っています。この度は、千葉昌之さん執筆の「山田式読書感想文の書かせ方」 をご紹介します。


1.校内読書祭り

 カレンダーに「読書週間」というものが書いてあるのを生かしてか、学校では「読書強化週間」「読書月間」などの名称で、全校で読書に取り組む学校が多いようです。
 私の学校では、今年は「校内読書祭り」として、読書週間中に読書感想文を書くことになりました。
 ねらいは、「読書に親しむ時間を少しでも持つ。」ということです。私は、とっても素晴らしいことだと思っています。何もやらないでは、読書好きな子どもは育ちません。全校で取り組むということにも、図書担当者の意気込みを感じます。
 
 しかし、「感想文」を書かせることにより、逆に「読書嫌い」になってしまうということが考えられます。ここは、指導をきちんとしなくてはいけません。そこで、「山田式読書指導指導法」が大切になってきます。この指導法は、「読書感想文を書く道筋」がよくわかります。手順どおりに進んでいくと、感想文らしきものが書けます。もちろん、子ども達は悩みますがあ、ただ「書きなさい」というのとは訳が違います。
 私が6年生に対して行った指導を書き記します。


2.感動した本を選ばせる 

 子どもが「感動した本」を選ばせる

 これが最大のポイントです。字の多さ、少なさは関係ないと思います。だから、「絵本」を選んでも良し、と子どもには言っています。ただ、「感動した本であるのか」ということが大切です。
 「はらぺこあおむし」の本を選んだ子がいます。何に感動したのでしょうか?「生き物の神秘」「成長への驚き」でしょうか?無理やりこじつければ感動と言えるのでしょうが、6年生には無理があると思います。きっと、数行しか書けずにギブアップしてしまうでしょう。その子に、「この本で、原稿用紙に1枚以上書けるかな?」と聞きました。また、「この本で読書感想文は難しいかもね。」と伝えました。その子は、再び絵本を選びました。「いつでも会える」です。
 「いつでも会える」の本。この本は、私はクラスの子どもが転校する時に贈っている本です。以前、保護者の方に「良い絵本ですよ」と教えてもらいました。主人の突然の死で、飼い主を失ってしまった犬の悲しみの様子が短い文と抽象的な絵で描かれています。心にグッとくるものがあります。この本なら、感想文は書けるだろうということになりました。


3.3種類の紙を用意する

 原稿用紙でもいいのですが、私は「ひとことカード」という紙を使いました。この紙は何かちょっとした感想を書くときに使っている紙です。子ども達も2年間、慣れ親しんできた紙なのです。「書きやすいかなあ」という気がして使いました。

 3種類の色の紙を使う。

 これって、結構大切なポイントなのです。
 ●色のついた紙に書くという楽しみがある。(低学年程、この思いは強く、頑張ってかきます。)
 ●「ピンクが感動した文」というように、わかりやすい。色で人目でわかる。整理しやすい。



4.「感動した部分」を書かせる

 色はどの色でもいいのですが、私はいつも赤系統を使っています。今回はピンク色を使いました。ピンク色の紙を配布し、こう言いました。(昨年度に同様のことをやっていて、これで2回目になります。)

 ピンクの紙に感動したところを書き出します。感動とは、涙が出そうになった部分だけではありません。悲しかったり、面白かったり、うれしくなったり、くやしくなったり、すばらしいと思ったり、面白いと思った部分が感動になります。

 真の意味の「感動」になると難しいので、「心を動かされた部分」ということで、考えさせます。書き方は次の2点を提示しました。
 ●本文をそのまま写す。
 ●本文を要約して写す。
 また、「3つぐらい書いておくとよい。」と伝えておきました。
 ある子は、次のように書いています。

「ぼくはここにいるよ」感動したところ
★オタさんのお母さんが死んでしまったところ。
★ヒロシくんが「田島君の横じゃないといやだ」って泣いたところ。
★オタさんのうば車を見て、石ころを投げてくるところ。
★オタさんが「障害があるから、あなたとはつきあえない」と言われたところ。
★グーニーズという映画が好きな子が「オタとグーニーズがいい」と言ったところ。

もう1人の子は次のように書いています。
☆さっちゃんがおままごとのお母さんになりたくて、エプロンをとったら友達に手のないお母さんなんてへんだよと言われたところ。
☆さっちゃんが家に帰って、どうしてみんなみたいにゆびがないのと言ったところ。
☆1番最後にジャングルジムにのぼって、みんなにおちないでねと言われて、「平気!だって、さっちゃんの手はまほうの手だもん」といったところ。



5.自分の体験を考える

 次は、水色の紙を配りました。

 ピンクの紙を見て、頭に浮かんだ「自分の似た体験」を書きます。少しでも似ていたらいいです。

 これは、子どもが1番困る部分です。「先生、似た体験なんて、ないよお。」と子ども達は言います。ハリーパッターの本の感想を書いた子が3人ぐらいいました。みんな、ハリーポッターのように冒険をしたり、魔法使いになった体験を考えているのです。そんな体験、だれだってあるわけがありません。ここでいう体験とは、「行動の似た体験」ばかりではなく、「気持ちの似た体験」を思い浮かべさすことです。
 「ハリーポッターは、努力・友情・勝利という3つのことがちりばめられた物語だよ。それから考えてごらん」と言いました。「この話は家族がテーマじゃないの?」「これは自然の大切さかな」などと体験についてのアドバイスをすることです。

 その子にあったテーマを考えてあげる。

 ここは結構、重要ですね。どれだけ適切なアドバイスをしてあげるかです。
 どうしても、「似た体験が無い」という子は、感動を中心にして書くようにいいましょう。本によっては、どうしても似た体験が無い子がいて、仕方ありません。ただ、文章を書くのが少し難しくなるかも知れませんが。
 先程の2人の子どもたちは、「似た体験」について、次のように書いています.

「ぼくはここにいるよ」似た体験
★旭光園で障害者の方々と交流したこと。
★車イスにのったこと。
★シャッターチャンスがなかなかこないこと。

「さっちゃんのまほうの手」似た体験
☆4年生の時、指の骨にゆびがはいったこと。
☆6年生になって、オタさんの勉強や白血病の人の勉強をした。



6.本を読んで得たことを考える

 ここは、黄色の紙を配りました。 

 この紙には、ピンクの紙と水色の紙を比べて、自分が考えたことや思ったことを書きます。登場人物と比べて、自分はどうなのか。または、自分はこれから、どのように行動していきたいか、本を読んでこんな気持ちに変わってきた、ということを書きます。

 先程の子ども達は、次のように書いています。

「ぼくはここにいるよ」今後の自分
★これからも、ボランティアをがんばる。
★良い写真がとれるように努力する。

「さっちゃんのまほうの手」今後の自分
☆さっちゃんは、生まれた時から指が無いけど,私は何の不自由なものはありませんでした。さっちゃんのことを普通の人が見れば、指が無いと思う人もいるし、あの人変だという人もいると思うけど、さっちゃんは、「さっちゃんの手はまほうの手だもん」と言って、指がなくてもいっしょうけんめいがんばっているので、私もさっちゃんのように強い人間になりたいです。



7.読書感想文を書く

 さて、いよいよ、読書感想文に入ります。原稿用紙と3種類の紙を配った後に3枚の色の紙も配ります。

 3種類の紙を参考にしながら、感想文を書いていきます。3つの紙の内容をうまくミックスさせて書いてください。3種類文をすべて書かなくてもいいですよ。また、紙に書いていないことを書いてもいいですよ。

 この実践をやっていて、子どもから多い質問は次のことです。
●紙に書いていないことを感想文に書いてもいいのですか。
●紙に書いてあることを、全て書かなくてはいけないのですか。
 3種類の紙は、あくまでも「メモ」です。文章は,書いているうちに変わったりするのが当たり前です。だから「参考にする」程度の押さえをしておきます。文がきちんと書ければ,まるっきり使わなくてもよいのです。

 「ぼくはここにいるよ」を読んだ子は、次のような感想文を書きました。(※手紙形式で書かせています。)



     「ぼくはここにいるよ」   田島隆宏さんへ

 オタさん、こんにちは。わたしは、今、ボランティアの勉強をしています。学年文庫にあった「ぼくはここにいるよ」をよみました。とてもいい話ですね。わたしが感動したところは、オタさんが療育園のときのベッドの位置替えです。ヒロシくんが「田島くんの横じゃないといやだ!」と言ったところです。いばりちらしていたオタさんを友だちとして認めてくれるなんて、いい話ですね。オタさんの命令に素直にしたがっていたのは、やっぱり「友だち」だからだと思います。友だちっていいですね。
 私は事故で入院した時に車イスにのっていました。看護婦さんにおしてもらってラクチンでした。でも、最初はやっぱりこわかったです。ところで、オタさんの写真はすごいですね。なんといったらいいかわからないけど、とにかく感動しました。わたしもあんな写真がとりたいです。わたしは、動物の写真が大好きです。最近は、動物園や牧場に行ってデジタルカメラなどを使って、写真をとっています。動物園でとったライオンの赤ちゃんの写真がとても気に入っています。動物園でとった写真はパソコンで編集して動物図鑑を作りたいです。表紙はなぜか動物園にはえていた「かんぴょう」にするつもりです。
 私はボランティアクラブで、旭光園という体の不自由な方の老人ホームを2回訪問しました。いろいろな話をして、とても楽しかったです。これからもボランティアを勉強していきたいです。そして、良い写真をとれるようにがんばります。オタさんも、お体に気をつけて、これからもがんばって下さい。お元気で。


 「さっちゃんのまほうの手」を読んだ子は、次のような感想文を書きました。(※手紙形式で書かせています。)

 「さっちゃんのまほうの手」 のべあきこさん・しざわさよこさんへ

 のべあきこさん・しざわさよこさん、こんにちは。私の学校では、読書祭りという行事を行っていて、私は「さっちゃんのまほうの手」の感想を書くことにしました。
 さっちゃんは生まれつき指がありません。私は、生まれて来て、何も不自由なものはありませんでした。でも、さっちゃんの気持ちは、わかるような気がします。
 さっちゃんは、今日、とってもお母さんになりたかったのです。おかあさんといっても、おままごとのお母さんです。私も7年前はようちえんへ行っていました。そして、私も毎日、友だちとおままごとをし、お母さん役の子もいました。もし、私のようちえんにさっちゃんが来たら、いっしょにおままごとをして遊びたかったと思います。
 もしかしたら、本のように「指のない人は変だよ」という人もいるかもしれません。でも、私は指がないからなんで変なのだろうと思います。おし、自分がそうだったら、どういう気持ちになるんだろう?それを考えると、さっちゃんは何も悲しむことはないんじゃないのかなと思います。
 さっちゃんは「さっちゃんの手はまほうの手だもん」といって、いっしょうけんめいがんばっています。私はさっちゃんの手から勇気をもらって、強い強い人間になろうと思いました。



8.文章の書き方を教える

 この他、大切なポイントは次のことです。これは文章を書かせる時には鉄則なのですが‥‥。 

 書いている時には、必ず「ほめる」こと。ほめる材料を何でもいいから見つけること。

 作文指導になってしまいますが、子どもが何かを表現する時には、叱ってはだめです。書かないで遊んでいたり、ふざけた内容を書いていたら叱ることもありますが、真面目に取り組んでいる時に叱ってはだめです。
 「字が汚い」とか「漢字をもっと使いなさい」「もう少し、詳しく書きなさい」などと、大人は言ってしまいます。文を書くことに集中しなければならないのに、字はきれいに書かなければならない、漢字を多く使わなければならないと、1度に3つのことに気をまわさなければならないとなると、子どもは気がめいってしまいます。
 「清書をする」ということを約束させ,下書きは自分の思うままに書かせることです。私は、「清書の時は、きれいに、漢字を使って書きなさい」と言います。時間はかかりますが、下書きは「どう書くのか」ということだけに集中させるべきです。
 あと、私が作文指導の時にいうのは次の2点です。まず1点目。これが1番大切なことです。



 1文を短くする。

 子どもの文の特徴としては、だらだらと冗長な文になりがちだということがあげられます。
 「ぼくは、今日朝起きてから、トイレにいって、それからごはんをたべて、食べ終わってからくつしたをまずはいて、‥‥」というように、句点(、)を多く使うのです。読んでいて疲れる文になってしまいます。
 「ぼくは、今日朝起きてから、トイレに行きました。それから、ごはんを食べました。次にくつしたをはいて‥‥」というように読点(。)を多く使うようにさせます。すると、読みやすい文に変わります。
 「、はあまり使うんじゃないよ。。を多く使うんだよ。」というと、低学年でも理解します。「1文を短く」「1文1義」ということは、私も普段からつけていることです。
 2点目は次のことです。



 書き出しを工夫する。

 読み手をひきつける書き方をすることです。要するに、テレビドラマの始まりのように、核心から書き出すということです。
●動作から書き出す  
●会話文から書き出す  
●引用から書き出す 
●擬音語・擬声語から書き出す
などが挙げられます。感想文でいいなあと思うのは、「引用から書き出す」ということです。
 ある子は、「引用」から、次のように書き出しています。

 「なぐさめられるよりはなぐさめることを、理解されるよりは理解することを、愛されることよりは愛することを私が求めますように」。私が最も考えさせられ、そして、心に残った大切なことばです。‥‥

 この「引用から」の書き出しは、感想文では、とても有効です。テーマがはっきりするからです。
  
 さあ、読書感想文でお子さんが困っていたら、このページを参考にして楽しく書かせてあげて下さい。

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